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源流を中心とした村づくりに取り組む小菅村村長

2017/11/27ライター:BE EARTH-FRIENDLY源流探検部

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本記事はDAIWA(グローブライド株式会社)ホームページの記事より転載したものになります。元記事はこちら→http://www.daiwa.com/jp/fishing/be_earth/genryu/content/gen007.html

 

山と源流を守ることで、下流の人々の暮らしも守る

 

森に抱かれるように山間を流れる清流、小菅川。源流探検部としてこの美しい川を訪れるたび、魚はもちろん、鳥や虫、そして植物を育む生命のゆりかごであることを実感する。同時に、この小菅川は多摩川の源流域として都市の暮らしを支えている。

 

では、この貴重な自然を、源流抱く地元ではどうやって守っているのだろうか。そして、そこにはどんな課題があるのだろうか。

 

そこで今回の源流探検部は、小菅川を擁する小菅村の舩木直美村長を訪ね、お話をお伺いした。

 

小菅村で生まれ育ち、小菅村役場職員として33年間勤務したのち、2012年に小菅村村長に就任した舩木村長。村長としてリーダーシップを発揮する傍ら、全国24の市町村で構成される「全国源流の郷協議会」の会長も務めている。

源流探検部を笑顔で迎えてくださった舩木村長は「源流の危機は、国土の危機なのです」と語り始めた。


多摩川源流の小菅村を率いる舩木直美村長。就任以来、多摩川源流域としての村づくりや、村外からの定住やUターン、防災対策を推進している。



「日本の人口は減少していますが、人口が減少すれば労働力が不足します。すると、山を守る人も少なくなるのです。また、戦後、山の木が伐採時期を迎えた時、木材の価格が低迷したことで山に入る人も減りました。山に人の手が入らないと山の保水力は低下します。すると、大雨が降った時などに土石流といった災害が起こったり、それによって川の水が汚れる恐れが出てくるのです。山は人の手が入ることで、雨が降っても一時的に水を貯めておく保水力が保たれるもの。だからこそ、山は定期的に管理する必要があるのです」

 

つまり、山を守ることが源流を守ることになり、ひいては人々とその暮らしを守ることにつながるというわけだ。

 

「しかし、自然環境を守っていくためには、源流域の住民の努力だけでなく、下流に住む方々にご理解いただくことがとても大切です。ですから、全国源流の郷協議会では、上流に住む人と下流に住む人がお互い理解しながら、一丸となって自然を守り、国土を守っていこうと活動しているのです」

 

自然循環型の源流域の暮らし

 

源流域はその地域だけではなく、他の地域にも影響をもたらす存在だ。大切に守るべき存在だからこそ、小菅村では昭和62(1987)年から源流をキーワードにした村づくりを進めているのだという。

 

「小菅村には、先祖から受け継いだ源流文化があります。源流文化とは生きる力であり、生きるための知恵。それを後世に伝えたいという思いが、小菅村の人々にはあるのです」

 

そんな小菅村の源流文化を象徴するのが、清流で育てるワサビであり、ヤマメやイワナの養殖だ。源流域はこうした生業を支えてくれると同時に生活の場であり、子供の遊び場であったという。

 

「私も子供の頃、川で魚を取ったり、川をせき止めてプールにして泳いだりしていました。また、人々は川から引いてきた用水路の水でお米を研いだり、洗濯をしたり。お米のとぎ汁が栄養になって、蛍も飛んでいました。このように、かつては川と暮らしが一体化していたのです」


小菅村を流れる清流・小菅川は、多摩川の源流域として首都圏を支えている。その澄んだ水の美しさは源流域ならでの魅力だ。



暮らしと密接だったからこそ、村の人々は川を大切に守ってきた。

 

「人間が生活する上で、水は切っても切れない大切なもの。そのため、昔からゴミは川から離れた場所に埋めてました。また、村の人々には、『水はキレイにしてから下流に流そう』という思いが強いのです。現在、小菅村の下水道普及率は100%と、この規模の自治体としては驚異的な数字を誇っています。下水道を普及させるためには、家庭から出る汚水を下水道管に流すための汚水ますや汚水管を住居に設置する必要があり、これは各家庭で負担することになります。それでも下水道普及率100%という数字を達成できたのは、村民の『川や水を守りたい』という気持ちの表れだと思いますね」

 

小菅村の人々が大切にしてきたのは、他にもある。

 

「小菅のように自然豊かな地域では、たき木を燃料にしたり、ゴミを肥料にしたりと、暮らしの中で自然エネルギーを循環させることが可能です。自然との共存共栄も、私たちが守り伝えていきたい源流文化の特徴なのです」

 

こうした自然エネルギーを上手に循環させる社会のあり方は、何も過去のものではないと舩木村長は話す。

 

「木材も自然エネルギーの一つです。山の保水力を保つために間伐をすると、間伐材が出ます。その間伐材は、最近人気を集めている薪ストーブの薪として使うこともできるでしょう。小菅村では、そんな自然エネルギーを循環させる暮らし方ができるのです」

2015年に建て替えられた新庁舎は山梨県材や小菅村材を使用しているほか、太陽光など自然エネルギーを活用した省エネの施設になっている。

 

国内外から訪れる人と源流の魅力を再発見

 

自然とともに暮らす。そんな小菅村の魅力に惹かれて、村外から移住する人も増えている。ここ3年の移住した人は19組60人にも上り、そのうち26人が中学生以下なのだという。

 

「自然の豊かさに加えて、小規模校で学べること、地域と学校と家庭が一体となって子供を育んでいることが魅力のようです。小菅村は宿場町だったわけでもなく、いわば『どんつき』のような場所に位置していますが、村の人は温厚で、村外から来た方を大歓迎するんですよ」


村の総面積の95%を森林が占め、1,630ヘクタールが東京都の水源涵養林となっている。この豊かな山は保水力を発揮し、水源や人々の暮らしを守っている。



また、小菅村の人々にとって、この豊かな自然は身近すぎて、当たり前のもの。そのため、村を訪れた人と話すことで、地元の人々が小菅村の魅力を再発見することも少なくないそうだ。

 

「11年前からは夏になると、イスラエルやパレスチナの女子高校生が小菅村に2週間ほど滞在し、源流文化を体験するのが恒例になっています。彼女たちは源流体験の他に、生ゴミを肥料にしたり、間伐について学んだりと『山の暮らし』も体験もします。自分たちの国とは自然環境も暮らし方もまったく異なるので、ここでの体験は非常に大きなインパクトがあるようです。そのため、彼女たちは『日本に行く』ではなく『小菅村に行く』と言うんですよ。参加者として小菅村に来た子が、のちにボランティアとして参加した例もあります。彼女たちも将来、子供を産み育てるでしょう。その時に、自身の体験を子供に伝えてくれたらいいなと思います」


夏になるとイスラエルやパレスチナの女子高生が小菅村を訪れる。2週間の滞在中、間伐(写真左)や源流体験(写真右)などを通じて異文化での自然体験を経験している。11年間続いている、小菅村の夏の恒例行事だ。



 

源流文化を体験し、次世代に伝えてもらうこと。それこそが、源流域の自然を守ることにつながると舩木村長は話す。


大切なのは、いろいろな地域の人々にも源流の魅力を知ってもらうこと。「多摩川源流の郷・小菅村へ、源流文化を体験しに来てください」と舩木村長。



「自然を守ることは難しいもの。だからこそ、上流に住む人だけでなく、下流に住む人々に源流域の大切さを理解してもらうことが大切なのです。子供の頃、源流体験をした人が親になり、子供にも体験させたいと連れてきてくれれば、次世代に理解がつながっていきますから。自然を守るための具体的な改革や手法は、すべてそこから出て来るものなのだと思います。そして、知恵でも知識でも、村にないものはどんどんお借りしたいと思います。みなさんもぜひ、源流域の自然を体感しにいらしてください」

 

小菅村の人々が守り続ける美しい自然と源流文化。その魅力を、源流探検部では今後もさらに掘り下げていきたいと思う。

 

<元記事>

源流を中心とした村づくりに取り組む小菅村村長|DAIWA BE EARTH FRIENDLY -Web site

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BE EARTH-FRIENDLY源流探検部

源流の里 小菅村を訪ねて。

詳しくはこちらから。http://www.daiwa.com/jp/fishing/information/1192706_4340.html

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