困ったときは美勢屋に行け!二代目店主たーちゃんにインタビュー
2020/07/03 ライター:yamashi
少し規模は小さいけれど「小菅村のホームセンター」とも呼べるであろう、美勢屋(みせや)。
前回はお店に並ぶ商品の一部をご紹介しました。
困ったときはここに行け!小菅村の四次元ポケット“美勢屋(みせや)”
昭和初期から小菅村を見守ってきた美勢屋さん。
そのお店を切り盛りする、二代目店主の藤木忠廣(ただひろ)さんにお話を伺いました。
美勢屋の店主 藤木忠廣さん
村民からは「たーちゃん」と呼ばれる、笑顔が素敵な店主です。
責任感も強く、なんと以前には小菅村消防団の団長も務めていました。
今回のインタビューにも、笑顔で気さくに答えてくれましたよ!
ー美勢屋さんは創業何年になるんですか?
昭和26年からだから、かれこれ70年以上やってることになるのかな。
ー先代がお店を始めたきっかけって何だったんですか?
川久保の大火事。
昭和25年に小菅橋~新屋(屋号)まで燃え広がった大火事があったんだって。
そのときにこっちに移り住んだことが、お店を始めるきっかけになったみたい。
店の前の県道はもともと畑の中を通っていたあぜ道だったんだけど、みんながこっちに移転したことで道を作ったんだよ。
それまではこの下の道が本通り。
ほら8月のお祭りのときには下の道を通るでしょ。
この川池地区では毎年8月にお祭りを行います。
獅子舞を奉納しながら地区をめぐる「宮巡り」では、今の県道ではなく一段川沿いに下がった裏道を通ります。
その当時のなごりで裏道を通っているようですね。
ーたーちゃんがお店を任されたのはいつからですか?
昭和48年。
親父が体調を崩したことがきっかけだった。
高校卒業して野村精機(東京都奥多摩町)で3年働いた後にね。
もともと跡を継ぐつもりだったから、それが早まっただけの話だけどね。
その当時は初任給が3万2千円くらいだったかな?
一番最初に買った車はマツダのカペラって車で72万円だった。
今考えると思い切ったもんだよね。
最近また昔の車乗りたくなってきちゃってね。
最近の車は訳のわからないボタンが多くて乗れないんだわ。
昭和の時代が懐かしいよ。
ー昔の小菅村と比べて、変わったことってなんですか?
今は昔と比べて人が減ったから寂しいよね。
昔は近所でお茶飲みをしているおばさん達をよく見かけたもんだよ。
子どもたちもその辺でどろんこになりながら遊んでいたよ。
山に山葡萄やサルナシなんかを取りに行ったりね。
そんなイベントをやれば子どもたちは喜ぶんじゃないかな。
ー自分でお店をやるようになって失敗談とかがあれば教えて下さい。
商売したての頃は、在庫を抱えすぎて困ったことも多かったかな。
売れる予定で大量に取り寄せたのはいいけど、売れなかったりね。
今思えば失敗の連続だったような気がするけど、その失敗が教訓として残っているからやっていけてるのかな。
今となれば笑い話だよ。
あ!そうそう!
うちで特に力を入れている商品がこれ!
ーこだわりの刃物なんですね!
特にこだわっているのが鎌やナタなどの刃物なんだけど、四国の鍛冶屋さんが作ったものなんだ。
営業の人が年に2回~3回来るからそのときに注文するんだよね。
前に「ずんのやすさん」(お笑いコンビ「ずん」のやすさんが小菅村に住んでいたことがありました)がここの刃物をテレビで紹介してくれたときは東京からわざわざ買いに来た人がいたくらいだよ。
男の人は刃物が好きだからね。
昔は道具を買い換えるなんてことはできなかったから砥石で研いで丁寧に扱っていたんだけど、今の若い子達は切れなくなったら買い換えるっていう感覚じゃない。
それが悲しい。
研いで使えば一生使えるのにね。
知り合いのおじさんはね、刃物が好きすぎて日本刀を持ってるくらいだよ。
日本刀を眺めていると心がスーっと洗われる感じがするんだって
気持ちが落ち着くみたいだよ。
侍の血が流れてるんだねきっと。
ナタを買いに来てくれたお客さんもそうなんだけど、マニアと言われるような人たちがたまに来ることがあるよ。
1万円もする古い万年筆や筆箱を大量に購入していく人とかね。
筆箱なんかも見てわかるように今はこんな筆箱置いてあるお店ってここぐらいだと思うよ。
さすがに筆箱は1万円もしないけど。
(たーちゃん)
実は俺もあるもののマニアなんだよ。
(yamashi)
え~!なんですか?
知りたい?
知りたいです。
ほんと~に 知りたい?
・・・
妖怪!
妖怪ですか!
うん!妖怪大好き。
妖怪大戦争※を見て好きになったんだけど、妖怪の優しさに魅せられちゃってね。
だからかな、おばけが怖くないんだよね。
(※妖怪大戦争 1968年に放映された映画。2005年には同名のリメイク作品が映画化されました。)
誰もが知っている「座敷わらし」が一番好きなんだけど「一反もめん」もかわいいよね。
自分がマニアだからなのか、そういう人の気持ちが良くわかるよね。
マニアの間で話題にのぼるお店になったら嬉しいな。
ー移住者に伝えたいことはありますか?
もう長いこと小菅村に住んでいるけど、移住して来る人に声を大にして言いたいです。
「すぐに出ていかないで~!」
もうちょっと長くいて、小菅村の良さを知ってもらいたいな。
それとこれは個人的な話なんだけど、一人でいるのは寂しいから男女問わずお茶飲み友達がほしい。
移住してきた人達の話も聞きたいし、俺の話も聞いてほしい。
でも、みんな忙しいからお茶のみとまでいかなくても、たまにはお店に寄ってもらいたいかな。
最後に
妖怪と刃物をこよなく愛する、たーちゃんこと藤木忠廣さん。
自分の知らない小菅村の話を沢山聞くこともできてとても勉強になりました。
小菅に住んでいる人もそうでない人も、一度はたーちゃんのいる美勢屋を覗いてみてはいかがでしょうか。
マニアの気持ちも理解し、どんな人も分け隔てなく話をしてくれる気さくな店主ですよ。
そして、もしかしたら掘り出し物が見つかるかもしれません。
これからも美勢屋のますますの商売繁盛を祈っています。
美勢屋の紹介はこちら
困ったときはここに行け!小菅村の四次元ポケット“美勢屋(みせや)”
美勢屋
yamashi
こんにちは。僕は地元小菅村で林業の仕事をしている傍ら小菅村の素晴らしさを皆様に伝えるべくライターとしても活動しています。これからも沢山四季折々の素晴らしさを発信していきますのでチェックしてみて下さいね。