ヤギVS人間! 除草はヤギと人間ではどちらが早いのか
2017/11/21 ライター:地主恵亮
ヤギという生き物がいる。
アルプスの少女ハイジで、ペーターが引き連れて歩いている動物だ。
肉は食べてよし、ミルクは飲んでよし、毛皮は着てよし、と特に山岳地帯では欠かせない生き物と言える。
そんなヤギは近年、日本でも除草で一役買っている。
今までは人間が刈っていた雑草を、ヤギに食べさせることで除草してしまおう、というものだ。
ただこれ、人間が刈った方が早いのではないだろうか。
ヤギと勝負だ。
ヤギの除草
雑草というものは、どんどんと生えてくる。
抜いても、刈っても生えてくる。
雑草魂と言ったりするけれど、本当に雑草はすごいのだ。
そこで近年、この雑草を除去するために導入されたのが、そう「ヤギ」である。
ヤギによる除草は電動の草刈機などは使わないので、非常にエコであり、個体差もあるけれど、1日で10キロくらいの雑草を食べると聞く。
なにより、人の手間があまりかからない。
ヤギによる除草は素晴らしいことのように感じる。
ヤギによる除草が素晴らしいのはわかる。
ただ人間が除草をした方が早いのではないだろうか。
タイムイズマネーの世の中だ。
そこで実際にヤギと人間で除草対決をしてみたいと思う。
ヤギの実力は?
山梨県小菅村では2017年7月より除草目的でのヤギの貸し出しを始めた。
村内にある「小菅の湯」の敷地内に「さくら」と「げんき」の2匹のヤギが飼われており、村内限定ではあるが除草を頼むことができる。
もちろんこの2匹が、除草用に特別な訓練を受けているわけではない。
素のヤギである。
ただそんな彼女と彼が除草のプロフェッショナルなのだ。
生まれ持ったセンスと才能を使って、除草してくれるのだ。
ヤギと人とで除草対決をする。
同じ大きさの雑草地帯を1時間で、よりすっきりさせた方の勝ちである。
実にわかりやすい。
人もヤギに習い電動的なものは使わない。
人間もエコに鎌で刈ることにする。
負けられない戦い
ヤギと人の除草対決の火蓋が切って落とされた。
ヤギ担当の村役場の柳沢さんは言っている。
「1時間勝負なら人が勝ちますよ」と。
そうこの企画、別に勝負しなくても、詳しい人に聞けばいいのだ。
でも、対決は始まっているのだ。
なぜヤギが負けるかというと、ヤギはスピード勝負ではなく、数日をかけて広い範囲を綺麗にするのに適しているからだ。
最初は好きな草しか食べず、それがなくなると違う草を食べ始め、やがて全て食べてくれるので結果綺麗になるのだ。
雑草にも美味しいのと、まずいのがあるのだ。
ヤギが美味しそうに食べているので、もしかして雑草って美味しいの、と血迷ってしまい、私も雑草を食べてみたけれど、全然そうではなかった。
とても緑臭かった。
ただヤギ的にはいま美味しい雑草から食べている。
いろいろとあるのだ。
除草は草を刈ればいいという、とてもシンプルなゴールではあるけれど、そのゴールまでがキツい。
疲れるのだ。
腰が痛いのだ。
ヤギは土曜日の朝のように気持ちよく除草をしているけれど、私は月曜の朝みたいな気持ちで草を刈っている。
1時間はなかなかにキツいのだ。
ずっと中腰だし、鎌の切れ味も後半は悪くなった気がする。
私の体力が落ちて鎌に力が入らなかっただけかもしれないけれど。
腰は痛いし、握力はなくなるし、体力ケージは0に近い。
本気でキツいのだ。
人の勝ち
1時間が経ち、人間はどうにか範囲内を刈ることに成功した。
ただ立ち上がりたくないほどに疲れている。
一方、ヤギは全然元気。
まだ食べている。
ただあまり変化はない。
草の上を歩いているので、草が倒れてすっきり感はあるけれど、雑草自体はあまり減っていない。
ただヤギはここから1日もあれば綺麗になる。
1時間では好きな草を食べるだけで終わる。
短時間では人間、長時間ではヤギという軍配になる。
ヤギはほっておけば食べといてくれるので、間違いなく楽なのはヤギだ。
ヤギが休める簡易的な小屋や水を設置しておけば、無限に食べてくれるのがヤギだ。
一方で私はもう一生雑草を刈りたくないと思っている。
だって、刈りながらヤギの勝ちでいいな、と思ってたもん。
美味しそうに除草してるし。
除草はヤギ!
1時間の人間とヤギの除草対決は「人間」の勝利となった。
ただ長い時間で見ればヤギかもしれない。
彼らは楽しみながら除草するから、むしろ広ければ広いほど嬉しいだろ。
人間は逆だから。
ちなみに小菅村では除草してない時は、小菅の湯近くでこのヤギが見られます。
そして、2017年11月4日に双子の子ヤギが生まれました、ぜひ!
地主恵亮
1985年福岡生まれ。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。東京農業大学非常勤講師ですが、たいだい家にいます。ご連絡は「jinushikeisuke@gmail.com」までお願いします。