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古民家ホテル「NIPPONIA 小菅 源流の村」をけん引する嶋田代表の思いとは

2019/11/06 ライター:yamashi

 

 

今話題の古民家ホテルってご存知ですか?

昔ながらの趣きある建物をリノベーションしてホテルにしたもので、日本家屋の良さや非日常感を楽しめると話題になっています。

 

小菅村にも、手つかずだった築150年以上の地元名士の古民家があります。

その古民家を改装したホテル「NIPPONIA 小菅 源流の村」が2019年8月にオープンしました。

 

今回は活用されていなかった歴史ある邸宅に新たな息を吹き込んだ、プロジェクトの責任者・嶋田俊平社長の思いを取材しました。

 

 

嶋田社長が地域の活性化に力を入れるわけとは? 

 

 

嶋田社長は「NIPPONIA 小菅 源流の村」を運営する株式会社EDGEの代表取締役でもあると同時に、「株式会社さとゆめ」という地域活性化を担うコンサルタント会社の代表取締役でもあります。

 

嶋田社長はこれまで、どのような人生を歩んできたのでしょうか?

幼少期は海外で日本語教師をしていたお父様と一緒に、小学3年生のときからタイで4年間過ごし、その後インドにも3年間在住していました。  


タイのバンコク郊外


当時タイでは、日本の製紙会社や木材会社による大規模伐採が行われ、荒れていく森や大地をみて、自分と同じ日本人の行いに深く心を痛め罪悪感を感じたそうです。

 

その後、高校1年で日本に帰国した嶋田社長は、大学進学に際し、熱帯雨林保全の研究を志し、京都大学の農学部森林科学科に入学します。

しかし日本の大学では理論的な勉強しかせず、現場で学びたかった社長にとっては物足りなかったようです。

そこで、毎週末、京都・鴨川の源流に位置する林業地に自転車で通い、林業家に山仕事を教えてもらうことに。

地域の方々との交流の中で、「森林」や「林業」だけでなく、「地域」へと嶋田社長の関心は広がっていったようです。

 

しかし、当時から、林業は衰退の一途をたどっており、木材価格が低迷し、嶋田社長に林業を教えてくださっていた方の中にも林業を続けられなくなり、都会へと出て行った方もいました。

木材が売れないことで、土地を売る人が出てきて産業廃棄物の置場が出来ることもありました。

自分の愛した風景や暮らしが失われていくのをただ呆然と見ていることしか出来ず、大きな無力感を感じたそうです。

 

自分の力不足を痛感する中で「思いだけでは人々の暮らしを守っていくことは出来ない!自分で産業を作って人々が豊かに暮らせる仕組みを作ろう!」

その強い思いが、自身の会社「株式会社さとゆめ」設立にもつながっています。

株式会社さとゆめについてはこちら

 

小菅村との繋がりは約5年半前。

小菅村役場に勤めていた一人の職員との出会いがありました。 

そして「道の駅こすげ」の立ち上げにプロデューサー的な立場で関わることになり、小菅村に通い始めました。

 

「道の駅こすげ」の立ち上げに成功し、その後も地方創生総合戦略の策定を立ち上げたり、株式会社源の立ち上げ、こ、こすげぇーやこすげ村人ポイントカード、更にはオープンビレッジなど、小菅村の地方創生を様々なかたちで支援されています。

こすげ村人ポイントカードについてはこちら

 

 

もっと観光客に小菅村の良さを知ってもらいたい

 

嶋田社長は、小菅村で地方創生の活動が盛り上がっていく中で、観光客や移住者が増えていく一方で、宿泊施設が減少していることが気になっていました。

「これでは、本当に持続的な村づくりに成功したと言えるのだろうか。

道の駅や温泉に立ち寄ってもらうだけでは、小菅村の良さが十分に伝わらない。

観光客に小菅村の魅力をもっと体験・体感してもらいたい」と。

 

そこで村の現状と照らし合わせ、空き家問題に着目します。

村の中に100軒以上ある空き家を改装して宿泊施設に出来ないものかと考えたのです。

 

 

そんな時、関西方面で古民家再生事業を手がける「株式会社NOTE(ノオト)」との出会いなどがあり、視察や検討が始まりました。

 

2016年に基本構想を策定し、2017年に事業計画策定と進み、2018年にはホテルを営業するための事業会社「株式会社EDGE」を設立します。

当初嶋田社長は、小菅村の村民の中からホテル経営をしてくれる人が見つかればと思っていました。

ですが、なかなか見つからず、淡々と月日だけが過ぎていきます。

このままでは、計画倒れに終わって、小菅村は通過型、立ち寄り型の観光地から宿泊型の観光地に変わることはできないのではないかと諦めムードも漂ってきました。

 

しかし、そこで頭をよぎったのが20年前の出来事でした。

20年前、学生時代と同じように源流の風景が変わっていくのをただ見ることしかできなくても良いのか、無力のままで良いのか。

そんな思いに後押しされ、自らホテルの経営に名乗りを挙げました。


ホテルへの想いを熱く語る嶋田社長


その行動の源となっているのがホテルのコンセプトになっている「700人の村が一つのホテルに。」です。

 

村全体を一つの宿と見立てて、村民一人一人がホテルのコンシェルジュ、村の道路や畦道はホテルの廊下、道の駅はホテルのラウンジ、小菅の湯はホテルのスパに位置付けて、村全体の魅力を磨いていき、村全体でお客様をおもてなしするコンセプトです。

そうすることで、例えば、「村の道路はホテルの廊下なのだから、空き缶が落ちていたら拾おう、道沿いに花を植えたらどうか」等、村民の中に、村の風景を守り、より魅力を高めていこうという意識を育てていけると考えました。

 

 

お客様に伝えたいこと 

 

 

色々と難しい話をしてしまいましたが、お客様には、純粋に、都会での仕事の疲れを癒して頂いたり、夫婦や家族で水入らずの会話を楽しんで頂いたり、まずは、プライベートな空間、時間をゆっくりと楽しんで頂きたいと、嶋田社長は言います。

 

そして、十分にプライベートな空間、時間を楽しんで頂いた上で、気持ちや時間に余裕があるなら、ぜひ客室、そしてホテルの敷地を一歩外に出て、村の空気を肌で感じてもらいたい。

そのための体験プログラムが用意されています。

-小菅さんぽ

-自転車プログラム

-焚き火プログラム

 

 

お散歩プログラム「小菅さんぽ」 

 

 

15:00にチェックインし、少しホテルの中でくつろいだ後、16:00~30分くらいの間、村を熟知した村民ガイドさんの案内のもと、住んでいる人しか知らないようなスポットをめぐります。

ゴールは小菅の湯になっていて、温泉を堪能してもらうプランです。

 

 

自転車プログラム 

 

 

電動アシスト付き自転車で、村の中を自由に散策ができます。

小菅村には道の駅や小菅の湯以外にも見どころがたくさんあります。

歩いていくには遠すぎるスポットや、急な坂でもこの自転車があればらくらく進みます。

 

 

 

 

焚き火プログラム  

 

 

普段火を見つめる機会なんてなかなかないと思います。

暗闇の静寂に包まれた中、じっと炎を見つめているのを想像してみてください。不思議と素直になれる感じがしませんか。

 

焚き火を見つめながら心を穏やかに保ち、人間の原点に立ち返って炎(自分)を見つめ直す。

炎を見つめながら色々なことに思いを馳せてください。

きっと自分が忘れていた想いに気付くはずです。


1977年、経済発展の真っ只中に東京から屋久島に移住した詩人、山尾三省さんが火をテーマに書いた書籍。嶋田社長の愛読書です。


 

嶋田社長から、村民の方々へのメッセージ  

 

 

僕はこの事業を、ホテルをつくるというより、村づくりに繋がるホテル、お客様にも村民の皆様にも共に喜んでもらえるホテルをつくりたいと思って、取り組んでいます。

僕の立場も、第三者的なコンサルタントとしてではなく、同じ夢に突き進んでいく小菅村チームの一員として見ていただければ嬉しいです。

 

観光と言う言葉は、光を観ると書きますよね。

地域の光を見に行くのが観光です。

小菅村の風景や暮らしには、多くの地域が失ってしまった光があります。

村民の皆さんは、身近すぎて気付いていないかもしれませんが、都会に住む人たちにとってはとても魅力的に映っていると思います。

このホテルで、それを皆様と一緒に証明していきたいと思っています。

嶋田俊平

 

 

さいごに

 

今回取材させて頂いた中で人とのつながりの中ですごく大切なものを見つけてこられたんだなという印象を持ちました。

一村民である筆者も嶋田社長に出会えたこと、そしてこれからの小菅村の未来にワクワクさせていただきました。

 

そんな思いの詰まった「NIPPONIA 小菅 源流の村」。

読者の皆様もぜひ、小菅村の光を観にきてください。

きっと素晴らしい景色が見られることと思いますよ。

 

 

<NIPPONIA 小菅 源流の村 インフォメーション>

HP: https://nipponia-kosuge.jp/

住所:山梨県北都留郡小菅村大久保3155-1

電話番号:0428-87-9210


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    yamashi

    こんにちは。僕は地元小菅村で林業の仕事をしている傍ら小菅村の素晴らしさを皆様に伝えるべくライターとしても活動しています。これからも沢山四季折々の素晴らしさを発信していきますのでチェックしてみて下さいね。

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