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小菅中学校ってどんなところ?vol.1 地域に根ざし少人数を生かした教育とは。

2021/05/11 ライター:A.H

 

 

人口約720人の小菅村。

そんな小菅村には、唯一の中学校である小菅中学校があります。

 

全校生徒15名(2021年3月時点)と小規模である特性を生かし、地域と連携し、充実した教育を行っています。

 

そんな小菅中学校で大切にされている学校の特色や教育方針について、校長先生にお話を伺いました。


いつも温かく生徒たちを見守る梶原正彦(かじわら まさひこ)校長先生(2021年度3月時点)。


 

小菅中学校の教育方針

 

―小菅中学校ではどのような教育方針が掲げられているのですか?

校訓として「独立自尊」という言葉を挙げています。


生徒が毎日通る校門には「独立自尊」の文字が掲げられています。


学問を通じて、自己の人格を磨き、尊厳を保ち、何事も自分の判断と責任をもって行うことにより、独立心と自尊心を養うことを目指しています。

 

また、「凡事徹底」という言葉も大切にしていて、当たり前のことが当たり前にできるように、という願いが込められています。

 

―具体的には、小菅中学校ではどのような教育がされているのですか?

教育目標として「ふるさと小菅の未来を支える生徒の育成」を挙げ、小菅村に根付いたさまざまな教育を取り入れています。

 

特に地域とのつながりを大切にしていて、学校行事では村民の方が協力してくださったり、応援に来てくださったりします。

村全体で生徒たちの成長を見守ってもらっています。


敬老会の日には、社会協議福祉会で合唱などを披露します。中学生だけでなく、小学生や保育園児もやってきます。


また先生・保護者・地域が一丸となって、生徒が持っている力を伸ばし、自己肯定感を育てることに努めています。

学校現場では、保護者と先生が連携して、生徒一人一人の課題や良い面など話し合い、教材や指導内容を工夫しています。

 

このように、生徒たちが安心できる居場所となるような温かい学校づくりを目指しています。

 

 

小菅中学校の先生たち

 

―少人数であると先生たちの人数も少ないのでしょうか?


保健体育の授業の様子。令和2年度は、1年生7人、2年生2人、3年生が6人でした。


生徒数の多い中学校と比べれば、もちろん先生の人数も少ないです。

しかし、小菅中学校は1学年1クラスでも、学年主任と担任の先生が2人体制で付いています。

また教科ごとに1人ずつ先生がいて、ALTの先生も常駐しています。

なので、生徒の多い学校と変わらない対応となっています。

むしろ1人の先生に対して生徒の数が少ないので、きめ細やかな対応ができます。

 

心のケアも大切にしていて、定期的に外部からスクールカウンセラーの方にも来ていただいています。

生徒も保護者もカウンセリングを受けることができるようになっています。

 

 

小菅中学校の行事

 

―小菅中学校らしい行事はありますか?

中学3年生の時に行う修学旅行は、毎年約1週間オーストラリアに行っています。

旅行中、生徒が1人1人別々のお家にホームステイをする機会も用意しています。

1人でホームステイをするため、学校では事前に英語での自己紹介や日常生活で使用する簡単な英会話の指導もしています。

 

小菅村の中だけではなく、世界に目を向けてほしいという願いを込められた修学旅行なので、村からも支援してもらっています。


2020年~は新型コロナウイルス感染症のため、オーストラリアへの修学旅行は中止となっています。状況を見ながら再開を検討していくそうです。


体育祭は、すぐ近くにある小学校と合同で行われます。

 

 

少人数だからこそできる取り組みで、小・中学生混合で赤・白チームに分かれて、各チームで協力して競技に挑みます。


中学生はソーラン節を披露します。そのソーラン節は、上級生が下級生に教え、引き継いだもので、最近の小菅中学校の伝統になっています。


1年生が行う職場体験では、村内の事業者さんの元で2日間仕事の体験をしています。

道の駅や美容室といった接客業から、ごみの収集業者や警察官など幅広い選択肢の中から、生徒たちが自ら行きたい場所を決めて体験に行きます。

 

 

職場体験の最後には、お世話になった村民の方にお礼状を渡します。

地域で生徒たちを育ててもらっていることが伝わる行事ですね。

 

 

小菅中学校の生徒たちの様子

 

―校長先生から見た、小菅中学校の特色は何ですか?

1人の生徒に役割がいっぱい回ってきて、自分を表現する場面が多くあります。

その分、成長を実感できる場面も多く、3年間という短い期間でも力が付いていきます。

 

ある意味では、人数が少ないためにやらなければ仕方ない、という環境なのかもしれません。

それでも、こういった機会があることで、心が豊かになって生徒たちが成長していくんです。

 

 

入学当初は人前で発言できなかった生徒が、手を挙げて発言できるようになったり、大きな声が出るようになったり。

自分の意見を伝えることができるようになるのも、大きな成長です。

 

行事ごとにリーダーの役割が回って来るので、一人ひとりの責任感も芽生えていきます。

 

―校長先生含め、先生と生徒たちが積極的にコミュニケーションをとっていると聞きました。

職員室の前には、私から生徒へ伝えたいメッセージを記入するホワイトボードがあります。

大切な言葉や詩、先生のつぶやきなど書いています。

 

 

それを見て、生徒たちがそれぞれ何かを感じたり思ったりしてくれればと思い、続けています。

生徒たちからコメントが返ってくることもあり、キャッチボールの場にもなっています。

何かが生徒たちに響いてくれてると思うと嬉しいですね。

 

その他にも、私を含め先生たちとの年賀状などでの言葉のキャッチボールもあるんですよ。

少人数だからこそできる、密なコミュニケーションなのかもしれないですね。

 

―中学校の校庭でヤギを飼っていますが、それはどういった理由があるのですか?

授業や部活など、今までの学校活動が制限されたコロナ渦で、生徒たちの心のケアになればと思い、飼い始めました。

実際にヤギとふれあうことで、生徒たちの心も和んでいます。

 

 

えさやりから掃除・散歩など生徒と先生が一緒に世話をしていて、休日にお世話に来てくれる生徒もいるんです。

また、朝の散歩を日課にしている生徒たちもいます。


筆者の息子も、朝のヤギの散歩が日課になっています。ヤギと触れあうようになってから、穏やかに物事に向き合えるようになったと感じています。


 

さいごに

 

今回お話を聞いた梶原校長先生は、中学校だけでなく、村の花壇にコキアを植え、私たちの目を楽しませてくれています。

暑い日に村の花壇の草むしりで汗を流している姿を見ると、校長先生や先生方の温かい学校を作りたいという想いと重なります。

 

これからも、生徒たちが安心して通える学校づくりを続けてほしいです。

 

 

小菅村中学校の授業や部活、行事の様子についてはこちらの記事でご紹介しています。

⼩菅中学校ってどんなところ?vol.2 小菅村中学校の授業・部活・行事などの様子を聞いてみた


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    A.H

    東京から移住し、3人の子育てに奮闘中。絵を描く事を通じて、小菅での生活を楽しんでいます。特に冬の雪山がお気に入り。

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