君は重い布団を覚えているかい?
2017/03/25 ライター:地主恵亮
布団というものがある。
寝る時に必ず使うものだ。
敷き布団があり、掛け布団があり、毛布がある。
これらを組み合わせて寒くないようにして、人は眠るのだ。
近年は掛け布団に「羽毛」が登場している。
この羽毛が布団界に革命をもたらした。
今までの重い綿の布団がなくなったのだ。
羽毛布団は軽く、綿の布団は重かった。
子どもの頃に使っていた布団は綿で重かったのではないだろうか。
いまもう一度あの重い布団を使ってみたいと思う。
布団が軽すぎる
家で使っている布団を思い出して欲しい。
その布団は羽毛布団なのではないだろうか。
昔は下から、敷き布団、毛布、掛け布団という順番で使っていたけれど、今は敷き布団の次は掛け布団という人が多いはずだ。
掛け布団に羽毛が使われている。
この羽毛が素晴らしくて、軽くて温かいという夢のような環境を作り出してくれているのだ。
毛布も必要としない。
寒い日でも敷き布団と掛け布団があればいいのだ。
何より羽毛布団は軽いのだ。
羽毛でなくても最近はとにかく軽い、というのがトレンドだ。
もはや掛け布団なんてないのでは、と思うほどに軽い。
ただ昔を思い出して欲しい。
布団は重かったのだ。
自分の上に誰かが乗っているのかな、と思うような重みがあったのだ。
ということで、山梨県・小菅村に来ました!
重みを思い出せ
あの重い布団を懐かしく感じた。
あの重みをもう一度体験したい。
ただそのために重い布団を買うのはもったいない。
そこで山梨県にある小菅村を訪ねた。
この村にある旅館は、ほぼ間違いなく「重い布団」を使っているのだ。
小菅村にある旅館「かどや」を訪れた。(2022年7月時点で、営業をしておりません。小菅村の宿泊施設についてはこちら)
ここに泊まれば重い布団で眠ることができるのだ。
重い布団、いつ以来だろうか。
重い布団に心が躍ることに驚く。
昔は当たり前だったのだ。
しかし、しばらく離れると重みを渇望するようになるのだ。
拍手をしそうになった。
この懐かしさ。
生き別れた兄弟にあったような喜びと懐かしさを感じる。
布団をめくる時にすでに感じるのだ。
重いな、と。
重いことは避けられることが多いけれど、重いことが素晴らしい。
「かどや」の広瀬重陽子さんに重い布団についてお話を聞きました
小菅村の旅館の布団はどこも重いらしい。
ただ昔はもっと重かったそうだ。
そして、重い布団には安心感がある。
わかる気がする。
別の地域でホテルに泊まると自宅の羽毛布団よりもさらに軽い。
というか、今は基本的にどこのホテルも軽い布団なのだ。
小菅村は寒いのだ。
その寒さの中でぐっすり眠るために、重い布団なのである。
軽い布団は寝返りなどでめくれてしまうことがある。
もしこれが起きると寒くて目がさめる。
しかし、重い布団はめくれにくいので、朝までポカポカで眠ることができるのだ。
どのくらい重いの?
今や絶滅しつつある重い布団で眠ることができる小菅村の旅館。
では、重い、重い、と書いてきたけれど、どのくらい重いのか測ってみようと思う。
持っただけで十分すぎる、牛かな、みたいな重みを感じるけれど。
敷き布団以外の重さをはかります!
掛け布団を持って体重計に乗ると「74キロ」という数字が出た。
そこから私の体重である「64キロ」を引くと、掛け布団は「10キロ」ということになる。
10キロはなかなかだ。
お米10キロを買って持って帰ると重い。
それが一晩中体の上に乗っているのだ。
羽毛の掛け布団も測りました!
羽毛布団は「2キロ」だった。
軽い。
重い布団とは8キロも異なる。
ダイエットで8キロの減量に成功すると大喜びすると思う。
それくらい羽毛と重い布団は異なるのだ。
その8キロが懐かしさと安心感を生むのだけれど。
敷き布団込みだと、
重い布団は「20キロ」
家で使っている布団は、
敷き布団込みで約「6キロ」
敷き布団も入れて測るとその差はさらに大きくなる。
14キロも違うのだ。 3歳児が万が一14キロのダイエットをしてしまったら、何も無くなってしまう。 子どもの3年分ほどの差が重い布団と軽い布団にはあるのだ。
ただ重い方が安心感があるのです!
重い布団にイン!
ということで、いよいよ重い布団に寝る。
昼間に小菅村に着いたので、夜まで重い布団を待っていたのだ。 こんなに重い布団を心待ちにしたことがあっただろうか。 いや、ない。 いま心から重みを求めていたのだ。
久しぶりの重い布団だった。
体にずっしりと感じる重みが安心感と懐かしさを作り出してくれる。
たまらない。癖になる。
これはやめられない。
これを求めていたのだ。
恋人がすぐに結婚をちらつかせる重みは嫌われるけれど、布団の重みはむしろ好きなのだ。
家だと干すのが面倒いので、旅館だけで我慢するけど。
重みを感じようぜ!
最近はなかなか感じることのできなかった布団の重み。
それを体験しに小菅村を訪れた。
懐かしかったし、安心感が押し寄せてきた。
軽い布団もいいけれど、年代的なのかこれを求めていたのだと思う。
小菅村はどの旅館も基本的に重い布団なので、小菅=重い布団と覚えてもらいたい。
地主恵亮
1985年福岡生まれ。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。東京農業大学非常勤講師ですが、たいだい家にいます。ご連絡は「jinushikeisuke@gmail.com」までお願いします。