生きたままのヤマメが自宅に届く!?驚きのサービスを提供する玉川養魚場の裏側に潜入!
2021/09/16 ライター:ニッキー
「川魚を食卓に生きたまま発送します」
この衝撃的なキャッチフレーズをご覧になったことはありますか?
生きた魚が宅配便で届く、、、なんとロマン溢れるサービスなのでしょうか。
このサービスを行っているのが、小菅村にある「玉川(たまがわ)養魚場」です。
玉川養魚場は一体どんなところなのか?
サービスの詳細や養魚場について、お話を伺ってきました。
※「川魚を生きたまま発送」のサービスは2022年に終了となりました。
玉川養魚場の「川魚を生きたまま発送」とは?
これは小菅村の特産である「ヤマメ」という川魚を、養魚場から生きたまま発送するサービスです。
小菅村は日本で初めてヤマメの人工孵化に成功した場所であり、「ヤマメの里」という愛称で呼ばれることもあります。
ヤマメは、水の綺麗な清流にしか棲めません。
美しい姿と上品な味わいから「渓流の女王」と呼ばれるほどです。
そんな小菅村の特産ヤマメを生きたまま発送するため、鮮度は間違いなく高い状態で届きます。
発送中にストレスのためヤマメが弱る場合がありますが、元気な状態で届いた場合は自宅で子どもたちとつかみ取りを楽しむことができます!
食育の観点からも画期的なサービスです。
2020年8月からスタートしたこの商品。
「生きたまま発送!多摩源流ヤマメ」は、生きたままの発送を可能にするため、関東エリア(東京・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・神奈川・山梨)のみの限定販売となっています。
3匹と5匹の2種類で販売されており、価格はそれぞれ2,650円・3,400円(税込、送料無料)となっています。
小菅村の特産「ヤマメ」についてはこちらの記事でご紹介しています。
ヤマメが自宅に届くまで
注文したヤマメは、宅配便(冷蔵)で水に泳いでいる状態で自宅まで届けられます。
実際に玉川養魚場で行われている、発送作業を見せてもらいました。
まず、活きのいいヤマメを厳選。
大きな袋の中に、玉川の新鮮な水と氷とヤマメを入れます。
そして、酸素ボンベを使って袋の中に酸素を注入し、一気に袋の口を固く縛ります。
ヤマメの入った袋をダンボールに入れ、発送作業が完了です。
こうして鮮度の高いヤマメが各家庭に届けられます。
豊かな自然と地形を活かし、養殖を行う玉川養魚場
玉川養魚場は、昭和49年からヤマメとイワナの2種類の川魚を養殖しています。
玉川養魚場のオーナーは、横瀬徳義さん(通称のりさん)です。
のりさんは2代目で、養魚場はのりさんの義父さんが始めました。
そんなのりさんに、養魚場の中を案内していただきました。
玉川養魚場は、のりさんが管理する「玉川キャンプ村」というキャンプ場のさらに上流に位置しています。
玉川キャンプ村からさらに山へと進み、熊が出没することもあるという未舗装の林道を車で約5分走ると、玉川養魚場に到着します。
のりさんの義父さんがオーナーを務めた開業当時は、現在より下流にある玉川キャンプ村エリア内に養魚場がありました。
しかし大きな水害の被害を受け、上流にある現在の場所に移ったそうです。
川という自然相手だからこそ、大雨や台風が来たときには苦労も多いのでしょうね。
上流の傾斜地に移動してからは、その地形を活かした養殖が行われるようになりました。
一般的に養魚場のいけすには、酸素を発生させるための水車のような機械が必要です。
しかし玉川養魚場では傾斜地に段々にいけすを設置することで、上のいけすから下のいけすへと水が勢いよく流れ落ち、自然の力で酸素を発生させています。
毎日、手間ひまかけて育てられるヤマメ
いけすを覗いてみると、中には数え切れないほどの沢山のヤマメが!
玉川養魚場では毎年11月頃に、近隣の養殖センターから6万粒のヤマメの卵を購入し、育てているそうです。
ヤマメは出荷できるサイズに成長するまでに1年半くらいかかるので、同時に育てるヤマメはそれ以上の数ということになります。
毎年、6万匹という膨大な数のヤマメを養殖しているので、毎日の管理作業も大変です。
まずは1日3〜4回行う餌やりです。
餌はヤマメの大きさにあわせた大きさの餌を、毎日3〜4回に分けてあげます。
この作業は、のりさんの義父さんが毎日欠かさず行っています。
しかし丁寧に餌やりをしていても、残念ながら餌の争奪戦に負けて死んでしまうヤマメもいます…。
その他、病気になってしまうヤマメも含めると、最終的には6万匹のうちおよそ20%は死んでしまうそうです。
たくさんのヤマメがいるので、餌をよく食べるヤマメもいれば食いつきがあまり良くないヤマメもいたりと、成長のスピードに差が出てきます。
そのため大きくなったヤマメはより大きないけすに移し、同じくらいの大きさのヤマメを同じいけすに入れて育てます。
そうすることで大きなヤマメが小さいヤマメの餌まで食べてしまうことを防ぎ、小さなヤマメも餌を食べられるようになるため、成長を促せます。
ヤマメを仕分ける作業は、ふるいと網を使って手作業で行われます。
時期やその年によって、ヤマメの成長スピードは一定ではありません。
仕分ける頻度はのりさんの長年の経験による感覚で行っているとのこと。
まさに職人技です。
次に大変なのが、掃除です。
雑菌の繁殖を防ぐために、餌の残りや死んでしまったヤマメを網で取り除きます。
年に2回は、全てのいけすを高圧洗浄機で洗うこともしています。
また毎日、水温にも気をつけなければなりません。
元々、清流に棲むヤマメに適した水温は15〜18℃です。
低い水温には強いヤマメですが、水温が低すぎると餌の食いつきが悪くなり、逆に20℃を超えると弱ります。
ヤマメを養殖する上で重要な水温の管理。
それを天然の川を使ったいけすで行うことは、大変な作業の一つです。
手間ひまかかる、ヤマメの養殖を続けるワケ
大変なことも多いヤマメの養殖。
しかも、一人で養魚場を管理されているのりさん。
どうして手間隙かかるヤマメの養殖を続けられるのでしょうか?
それは、「小菅村の特産であるヤマメをもっとみんなに知ってほしいから」だそうです。
川魚というと、鮎(あゆ)を真っ先に思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
実際にのりさんもお客さんから「鮎はないんですか?」とがっかりされ、悔しい思いをしたこともあるそうです。
ヤマメは鮎よりも生息地が制限されるので、知名度は劣るかもしれません。
「ヤマメは、シンプルな塩焼きや刺し身はもちろん、唐揚げにしても、アンチョビにしても美味い。癖がなく何にでも合う。ヤマメは小菅村の自慢の魚!だから、ヤマメをもっとみんなに知ってほしい!」と話をしてくれました。
ヤマメの美味しさをもっと多くの人に伝えたい!
そのために愛情を込めてヤマメを育てる。
そんなのりさんの、ひたむきな想いを知ることができました。
いかがでしたか?
今回は「川魚を生きたまま発送する」サービスや、そのサービスを展開する玉川養魚場についてお伝えしました。
ヤマメを生きまま発送するという画期的なサービスの裏側には、玉川養魚場ののりさんのヤマメの養殖にかける熱い想いがありました。
皆さんもぜひ生きたままのヤマメをご自宅で楽しんでみてはいかがでしょうか?
【「生きたまま発送!多摩源流ヤマメ」はこちらで購入できます】
※「川魚を生きたまま発送」のサービスは2022年に終了となりました。
●玉川養魚場
https://genryusakanashop.stores.jp
※こちらの商品は、到着時に生きていることを保証するものではありません。魚の状態によりつかみ取りなどができないことがありますので、予めご了承ください。
【お手軽にヤマメを楽しむならこちら!】
●玉川養魚場のヤマメの一夜干し
ヤマメを開き、塩漬けにして一夜干しにした商品です。
一夜干しにすることで、ヤマメの甘みと旨味が凝縮され、とっても風味豊かな味わいになっています。
道の駅こすげ 物産館にて購入いただけます。
ニッキー
2021年4月から地域おこし協力隊として小菅村に住み始めた元ITマンです。好きなことは料理と自然と犬とドライブ。村の美味しいお野菜を使って料理のレパートリーを増やし、健康的で丁寧な生活を送ること(+体重を減らすこと)が今の目標です。